株式会社バイオテックス:地中熱利用システムの導入で脱炭素化に貢献
脱炭素化を意識した様々な取り組み
バイオテックスは、平成元年創業、地中熱の活用や土木工事分野で事業展開する会社です。
特に再生可能エネルギーのひとつである「地中熱」の部門において研究に積極的に取り組み、同社においても地中熱システムを導入して研究開発を推し進めています。地中の温度は一定で、外気温より夏は低く、冬は高いという特徴があり、この温度差を利用して効率的な冷暖房を行うことが可能です。メリットとの1つとしては、排熱を大気中に放出しないことで、ヒートアイランド現象の緩和にもつながっています。現在、地中熱を導入した事例としては、東与賀町にある「ひがさす」で地中熱を使った空調システムが使われており、システムの運転状況等は館内の1階にある展示で見ることができます。
国内ではこれから急展開していく地中熱エネルギーに力を入れる同社で令和4年2月に開催された脱炭素経営セミナーでは、脱炭素に関する様々な実践例が紹介されました。
バイオテックスでの脱炭素の取り組み
・佐賀県内の地中熱利用システムの工事受注
現在17の施設が地中熱システムを導入する中、うち10件をバイオテックスで担当
・地中熱の研究・開発
会社敷地内で実験的に地中熱交換器を設置し今後地中熱空調システムを導入(会社のジムにて活用)
現在トレーニングジムで必要な40~50kwを同システムでカバー予定
社屋で活用する場合は140kw必要
会社敷地内に設置されたトレーニングジムの空調を地中熱でまかなう予定
・エコカーの導入
エコカー所有台数
- 水素自動車(FCV)2台
- 電気自動車(EV)3台
- プラグインハイブリット車(PHV)1台
- 自転車 3台を導入
エコカー導入で1年間に削減されたCO2排出量は 1.71t-CO2/年間(自社調べ)
杉の木に換算すると約195本分の削減につながっている。
エコカーのうちの2台
「810」のナンバーは「バイオ」を意味している
・LED照明・人感センサーへの交換
LED照明…本社1階事務所、倉庫、常夜灯(新設)、フィットネスジム
LED照明・人感センサー…本社トイレ、玄関入り口、廊下の一部
・電力デマンド管理システムの導入
九州電気保安協会の「ECOねっとシステム」を活用
設定デマンドを超える予想になると、警報アラームによって電気の使い過ぎを知らせる
→電気料金の基本料金の削減につながった
・トイレや散水の雨水利用
敷地内に雨水槽を埋設して雨水をためて、水洗トイレや庭木の散水に使用
→水資源の無駄遣いを抑制、雨水の活用で環境保全につながった
・吹き抜けテント、ロールカーテンの設置
暖房使用時に吹き抜けと階段2か所に吹き抜けテントとロールカーテンを設置した。
本社事務所は吹き抜けのデザインで、空調が利きにくいため、暖房使用時に使用。
→空調効率が上がり、事務所1階の空調は約半分の運用が可能になった
1階事務所に設置した透明な吹き抜けテント
・温湿度計、加湿器、除湿器の設置
1階の事務所、および商談室に設置。温湿度計10個、加湿器5台(冬季)、除湿器、除湿冷風機5台(夏季)、サーキュレーター3台(冬季)を設置して、日ごろから温度や湿度をチェックできる環境を整えた。
→温度や湿度を「見える化」して意識することで、個人個人の省エネに対する意識向上につながった。快適なオフィス環境で仕事ができるようになった。
・現場への乗り合わせの励行
現場で使用する車を最小限に抑えて乗り合わせを励行
→稼働させる自動車が減ることでCO2排出量を減らすことができる
※新型コロナ感染拡大防止のため、乗り合わせは休止中
・テレワーク、WEB会議の積極的な導入
2016年からテレワークを導入し、現在2名がテレワークで業務にあたっている。会議や社内ミーティングなどでもWEBを利用している。
・宅配荷物の職場での受け取り
2021年12月から取り組みを開始した。
利用状況に応じては宅配ボックスの設置も検討している
・軍手のリユース
2022年1月から開始
従業員の軍手購入費負担軽減のために会社で洗濯をしてリユースを推奨。環境配慮への意識づけに。
→リユースすることでごみの削減につながる。
会社の倉庫入り口に設置しているリユースボックス
・ノーカーdeエコSAGAチャレンジへの取り組み
2022年3月から実施予定
社内で自転車の貸与、エコ通勤手当、あいのりなど、社内調整中。
多くの実践事例の中で、取り組めそうな例は見つかりましたか? 小さなことからコツコツと。継続していくことが脱炭素、省エネにつながっていくのです。さあ、明日から何かチャレンジしてみましょう!
将来的にゼロエネルギー化を実現させる
スタッフの渡瀬ゆかりさんからの事例発表を終えて、原田社長から未来の展望について話がありました。「今の場所には2020年に引っ越してきました。将来的な構想としては、700坪ほどある屋根を活用した太陽光発電システムを設置して、地中熱を使用した空調システムを全社的に導入することを目指しています。そして、蓄電池などを活用したゼロエネルギー化に向けて加速していきます。地中熱部門においては専門で対応しているので、お気軽にご相談ください」。
これからますます注目されていく地中熱エネルギーに携わる企業の脱炭素の取り組みを「自分ごと」としてぜひ、参考にしてみてください。
株式会社バイオテックス事務所
文/庄島 瑞恵