洞鳴の滝ふれあい館:地球温暖化対策や再生可能エネルギーを学習できる有意義な施設

緑いっぱいの環境下にある再生可能エネルギー学習の場

佐賀市街か30分ほど車を走らせると、脊振山系の山々に囲まれた自然豊かなエリア三瀬村に到着します。嘉瀬川の上流部・鳴瀬川のほとりにある洞鳴の滝ふれあい館は、小水力発電設備、太陽光発電設備、多久目的室や広場、トイレを備えた施設です。地元の方の話によるとこの辺りは、昔は民家もない渓谷で、現在のような道もなく、洞鳴の滝の落差も今よりはずっと大きかったそうで、洞岩に轟く水の音が、竜が洞穴で鳴いているように聞こえたことから「洞鳴の滝」という名が付いたというエピソードが残っているそうです。現在は大きな落差はないものの、岩場を縫うように流れる川の水は清らかなまま残っています。もともとこの場所には、滝の水力を利用した精米施設がありました。その後、川の流れを使った再生可能エネルギーを小水力発電によってつくる施設を建設することになり、平成30年に現在の施設が整備されました。

看板を頼りに走ると迷わない

小水力発電は、再生可能エネルギーのジャンルの中でも発電効率がいいといわれています。佐賀市環境政策課の内藤さんは「一般的な太陽光発電システムの再生可能エネルギーの発電効率は20%程度ですが、小水力発電は60~80%の発電効率が期待できます。水さえ流れていれば24時間発電ができることもあり、効率がいいのです」と小水力発電のメリットについて話してくれました。

現地に行くと小水力発電の仕組みがわかる

この施設では、発電設備の上流約80mの場所から毎秒約0.3㎥の水を送り、制水門を通して水量調節を行いながら発電機へと送水しています。小水力発電機はプロペラ水車という形式を導入しており、水の力でプロペラを回転させることで発電機の軸が回転し、発電が行われる仕組みになっています。この施設での24時間の発電量を家庭の電気に例えると、6世帯から7世帯が1日に使う電気量に相当します。

取水口

流水中の土砂などをここで沈殿させて水と分離させる

制水門で水量を調整して水を通す

一連の発電の仕組みを身近に知ることができる施設は珍しいため、近くの小学校の課外授業の一環として講座が開催されたりしているそう。また、休日には川べりを散策しながら発電の仕組みが書かれたパネルを見て情報をインプットする人々も訪れています。自然を眺めながら再生可能エネルギーについて学べる絶好の場所として蘇ったことで、地元自治会では、地域の活性化に役立ちたいと施設の維持管理を担って陰で支えています。

洞鳴の滝ふれあい館ページより

通常はふれあい館の建物は閉まっていますが、多目的室や広場を利用したい場合は市に使用許可申請を行えば使用ができます(商用目的の場合は除く)。環境学習や地域の活性化を目的とした集会などでの使用が可能です。また、再生可能エネルギーについて学びたい、現地で話を聞いてみたいといった要望があれば、担当課の環境政策課に相談してみましょう。

担当者からメッセージ

佐賀市 環境政策課
内藤新二さん

「ゼロカーボンシティさがしの取り組みについては、バックキャスティングしながら進めば実現できると確信しています。学校の体験学習や実地視察などご要望があれば出張講座にもできる限り対応します。そして、一人でも多くの方に理解を深めていただけたらと思います。いいスポットなので、まずはふれあい館に出かけてみてください」

文/庄島 瑞恵